むかしむかし

 論語(為政)に次のように述べられています。

 子曰く、
 故 ( ふる ) きを 温 ( たず ) ねて新しきを知らば、 以 ( もっ ) て師と為すべし。

 ( 孔子 が言われた。『先人の学問、過去の事柄を研究し、現実にふさわしい意義が発見できるようであれば、人の師となることができるだろう。』)

 今のBASING ROOMはいかにして出来たのだろう? 皆さん疑問に思われた事は有りませんか?
BASING ROOMメンバー最古参(多分)として、BASING ROOMの生い立ちから記してみたいと思います。
私個人の記録の部分も有りますが、ご容赦ください。

                           ―― 悟空 ――

むかしむかし

 その昔、パソコン通信と言うコミュニケーションサービスが有りました。パソコン通信って何? と思われる方は、インターネットで調べてみてください。説明すると長くなるので省略します。
 パソコン通信には、有名なものとして、PC-VAN、ニフティサーブ等が有りました。ニフティサーブは有料で、しかもクレジット決済のみ、PC-VANの方は無料と言うことで、どちらかと言えば、PC-VANの方が馴染みが有りましたね。
 私がニフティサーブを知ったのは、PC-VANをうろついていた時です。
 ニフティもPC-VANも、いわゆる「おたく」が集合しているので、外から見ているだけ(ROM)でも大変面白かったのです。

 PC-VANの点訳関連の会議室で偶然、パソコンで点訳できる事を知りました。常々「個人でもコンピュータを持てる時代に、どうして点訳だけ1冊ずつ手打ちでやっているのだろう? パソコンでテキスト文書を作るように、簡単にできるはずなのに」と思っていたので、「これだ!」と思って、早速点訳エディタを入手してみる事にしました。しかし、そのエディタは、ニフティで提供されていたのです。

 早速ニフティに加入し、FEYEに行ってみました。私のハンドルネームは「てんまはかせ」にしました。私は他に「ブラックジャック」と「悟空」と言うハンドルネームを使っていて、現在は「悟空」のみです。三つとも手塚治の漫画からお借りしたものです。

 ニフティには多い時には千を超えるフォーラムが存在し、その中で視覚障害や点訳の事を扱うフォーラムは「フォーラムEYE」、略してFEYE(眼のフォーラム)と言いました。

 実にタイミングの良い事に、私がFEYEに参加する直前に点訳会議室がオープンしていました。1989年6月の事です。すでに多くの書き込みが有りましたが、まさに「おたく」の集まりでした。何も知らないと言う事は強い事で、私はバリバリの点訳ボランティアたちの中に飛び込んでいったのです。

 その時にはすでに「翼システム」「AOK」「コータクン」「ブレイルスター」「IBM-BE」と言う点訳エディタが存在し、IBM点訳ひろばも活動していました。「BASING ROOM」「グループBASING」の語源の「BASE」と言う点訳エディタは、FEYE会員のokiyoさんが作られていました。

 FEYEには会議室の他にいくつかのデータライブラリが有り、点字データは「未校正」「校正済み」「完成データ」などのライブラリが有り、BASEを使って点訳を始めたばかりの私は、無謀にも点訳データを未校正ライブラリにアップしたのです。
 すると、ナビールさんと言う方から「読みました。修正しましたので参考にしてください」と、メールが来たのです。ナビールさんは、日本ライトハウス盲人情報文化センターで校正のお仕事をしておられる職員の方でした。ナビールさんとはその時が初対面で、後で全盲の方だと知りましたが、メールの文章は完全な漢字仮名混じり文でした。
 多分、見るに見かねて校正してくださったのでしょうが、後で振り返ると赤面もののデータを登録していた事がわかりました。それ以来、ナビールさんが亡くなられるまでのおつきあいが続きました。幸運だったのは、最初に作ったのが点字書1巻の薄いものだったと言う事。もし、何巻かの難しい点訳だったら、ナビールさんも途中で投げ出されて、今の私は無いものと思います。

 その当時のBASE(NECのPC-9801用)は6点入力オンリーで、点字を知らない私は、テキストエディタでまず分かち書きされた仮名文字を入力し、そのデータをTDCと言う仮名を点字コードに変換するコンバーターに送り、できた点字コードをBASEで読み込ませ、BASE画面で編集をする、と言う方法を採っていました。

 その後も何冊か同じような方法で点字データをアップ、ナビールさんの校正と言う作業が続くうちに、点字を知らない新しい参加者が増えてきて、私と同様に点字データを作るようになってきました。データの全てはナビールさんが校正され、完成データのうち、いくつかはナビールさんの職場で点字本にしていただきました。

 6点入力オンリーだったBASEも仮名入力が可能になり、点字データ作成効率が飛躍的にアップしました。点字データを作る仲間も順調に増え、このあたりからいろいろな試みが行われるようになってきました。

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