限界への挑戦

 点字本と言うのは、当然ながら製作に時間がかかり、本が発売されてからかなり後にならないと読む事ができません。

 そこで、「どれくらい速く点字本にできるか?」にチャレンジしてみる事にしました。
 本は、1990年10月に発売された、シドニィ・シェルダンの『血族(上・下)』でした。この作家の本は、常にベストセラーで、発売日には本屋の店頭に大量に平積みされていたものです。

 ナビールさんに「どれくらい速く点訳できるか挑戦したい」と相談すると、ナビールさんも出たばかりの本をすぐに読む事ができたら嬉しいと言うことで、1巻分入力したらメールで送る事にしました。入力と校正がほぼ同時進行と言う形で進んだので、最終巻の入力が済んだ翌日には校正済みデータ全巻が完成していました。片面データ11巻を3週間で完成させる事ができたのです。今ではパソコン点訳が普及したのでめずらしくも無いでしょうが、当時としては画期的な速さだったのです。

 データを利用した全盲の方からのメッセージです。

 発売と同時に点訳を始めて、一ケ月以内に、両面印刷形式で全7巻分!!そんな話は、今までには全く聞いたことがありません。多分、最高のスピードではないかと思っています。本当に御苦労さまでした。そして、有難うございました。
 僕も早速ダウンロードさせて頂きました。そして、少しずつ、FM-TALKで聞いていますが、本当に面白いですね。ううむ、こんなのがどんどん点訳されると、僕達の読書環境は、飛躍的に、よくなってくると思います。


 これ以降も、シドニィ・シェルダンの本に関しては、発売と同時に点訳を開始し、1巻ずつナビールさんに見てもらう方式を採る事にしました。

 本の奥付には発行日が書いてあるのですが、なぜか発売された日より後の日にちが書いてある事が有ります。『陰謀の日(上)』の発売日は、1997年11月1日ですが、点字奥付の完成日は、1997年10月27日でした(^^)

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