そもそも論ですが、なぜ点字では「段落冒頭2マス下げ」かといえば、そうしないと、前の段落の続きかどうか判断できないところが随所に出るからですよね。行末が何マスあいていても次の行に移らざるを得ないのが点字の特徴だから。 晴眼者は一瞬でページ全体が視野に入るけれど、一度に認識できる範囲がとても狭い触読者にとって、2マス下げは段落を認識するために必須、と理解しています。見出しのマス下げも同様ですが。 PC点訳では改行マークが見えますが(晴眼者には)、点字用紙に出力すれば同じこと。 墨字では、1字下げしたり、しなかったり、何字も下げたり、フォントを変えたり、好き勝手にやりますが、あくまで墨字原稿の都合や視覚的効果を狙ったもので、原本がどうあれ、今回のようなケースも含め、迷うことなく2マス下げしてきました。 でも、ukiukiさんの点訳を拝見して、もしかして自分が所属したことのあるグループがたまたま一致していたローカルルールに過ぎないのだろうか? と初めて思いました。 ukiukiさんの考え方(所属グループの考え方?)は、挿入文の前後を1行あけさえすれば、触読者が前の段落の続きと勘違いすることはあり得ない。だから2マス下げする・しないは「あくまで原本に忠実に」ということなんだろうと推測しました。 最初に書いたそもそも論からいえば、確かに点字上で不都合はなく、筋が通っていると思います。 どちらが正しいとか間違っているというのではないかもしれませんが、でもどちらかに統一しなければならないし、統一するにはするなりの根拠が必要で、とても迷いました。 「てびき」(p.102〜)では、短歌・俳句・詩・シナリオは、墨字原本が1マス目から書いてあっても点訳では2マス下げすることになっています。 ただしこれは特殊な形式についてであって、今回のケースとは違いますが。 「ハンドブック 5章」p.9「挿入文の書き方」例文5. 墨字原本の挿入文の冒頭は1字下げしていませんが、解答(p.92)では冒頭を2マス下げしています。 ただしこれは挿入文全体を2マス下げしてもいいという点訳例であって、必ずそうしろとは言っていないし、冒頭2マス下げが必須なのか「してもいい」程度なのかも判断できません。 でも、上2つの資料から、冒頭2マス下げしても間違いとは断定できないのは確かのようなので、小心者の安全な選択ということで、2マス下げに統一させていただくことにしました。